将来に備えてお金をしっかり貯めているのは、若い世代の方が意外と多い印象があります。
一方で、40代・50代になると子育てや住宅ローンなど、日々の支出に追われてしまい、老後資金の準備が後回しになっているケースも少なくありません。
「老後には3000万円必要」とよく耳にしますが、それだけあれば本当に安心なのでしょうか?
この記事では、実際にどれくらいのお金が必要なのか、数字をもとにシミュレーションしていきます。
今後の資金計画を立てるうえで、少しでも参考になれば幸いです。
目次
「老後資金は3000万円」で本当に足りるのか?
老後資金について、一般的には「3000万円が目安」とよく言われます。
ですが、この金額は本当に現実的なのでしょうか?
実際に、日本年金機構や家計調査などのデータを見ると、現在の65歳以上の夫婦世帯の平均的な年金収入は約23万円。一方で、平均的な毎月の支出は約28万円とされています。
つまり、毎月の生活において約5万円の赤字が発生している計算になります。
この赤字が20年間続くと仮定すると、年間60万円 × 20年で1200万円の不足となります。
こう聞くと、「それなら3000万円までは必要ないのでは?」と思うかもしれません。
でも、人生はそう単純な計算通りには進みません。
想定外の出費とインフレが、老後の生活を脅かす
「月5万円の赤字×20年=1200万円で足りる」と考えるのは、あくまで理想的なシナリオに過ぎません。
実際の生活では、予想外の出費がつきものです。病気やケガ、家の修繕、子どもや孫への援助など、計画外の支出は避けられないことも多いでしょう。
さらに、今後無視できないのが“インフレ”の影響です。
近年の物価上昇を見てもわかるように、電気代や食費、保険料など、日常生活のコストは年々上がっています。仮に今と同じ生活を続けていたとしても、数年後には支出が増えている可能性が高いのです。
年金額が物価に連動して大きく増えることは考えにくいため、実質的な購買力は下がっていくことになります。
つまり、「想定外の出費」+「インフレによる生活費の上昇」の二重リスクを見越した資金準備が欠かせません。
ゆとりのある老後生活に必要な金額とは?
では、ゆとりのある老後を過ごすためには、いくら準備しておけばよいのでしょうか?
生命保険文化センターの調査によると、「ゆとりある老後の生活費」は月額約38万円とされています。
この金額を基準に考えると、毎月23万円の年金では15万円もの差が生じます。年間では180万円、20年間で3,600万円の不足です。
ただし、すべての人にこの金額が必要というわけではありません。現役時代の生活水準や家族構成、持ち家か賃貸か、どんな老後を望むかによって必要額は大きく変わります。
ひとつの目安として、「現役時代の生活費の8割」を老後も維持する、という考え方があります。
たとえば、現役時代に月50万円の支出があった家庭では、老後も40万円程度の生活費が必要とされます。
逆に、現役時代に30万円の生活をしていた家庭であれば、24万円程度で暮らせる可能性もあります。
とはいえ、この試算には物価上昇やライフスタイルの変化、医療費・介護費といった“変動要素”が含まれていません。
安心して老後を迎えるためには、「自分の場合はいくら必要なのか?」を把握しておくことが大切です。
年金支給開始年齢は、今後も65歳のままなのか?
現在、日本の公的年金は原則として65歳から支給される仕組みになっています。
しかし、世界の先進国を見てみると、支給開始年齢を徐々に引き上げている国が増えています。
たとえばドイツでは、1964年以降生まれの人は67歳からの支給が基本に。アメリカも同様に、将来的には67歳が基準になる予定です。イギリスやオーストラリアでも、段階的に支給開始年齢を引き上げる制度が導入されています。
これらの国々と同様、日本でも少子高齢化や年金財源の問題から、支給開始年齢の引き上げが検討される可能性は十分にあります。
実際に、今後70歳支給を選択することで年金額を増やせる「繰下げ受給」も推奨されており、制度上も“自助努力”の色が強まってきています。
つまり、65歳から確実に受け取れるという前提ではなく、「年金は遅れるかもしれない」「その分、自分で準備が必要かもしれない」という意識で老後資金を考えることが重要です。
「新NISA」は老後資金づくりの“第二の柱”になるかもしれない
老後に向けて貯蓄だけでなく、資産運用を取り入れる人も増えてきました。中でも注目されているのが、2024年からスタートした「新しいNISA制度(新NISA)」です。
新NISAでは、年間最大360万円まで非課税で投資できる仕組みに変わり、長期の資産形成に非常に有利な制度となっています。
特に、これから10年・20年先の老後を見据える40代・50代にとっては、NISAを“第二の年金”のように活用する発想がこれからの常識になるかもしれません。
ただし、NISAはあくまで「運用手段のひとつ」。投資リスクも含めて、老後に必要な金額を把握したうえで、どのように準備するかの選択肢として考えることが重要です。
制度が整ってきた今こそ、「自分の老後の備えを、仕組みで作っていく」意識が求められています。
介護は誰にお願いしたい?性別で分かれる“望むかたち”
将来、介護が必要になったときに「誰にどのように介護されたいか」は、人によって大きく異なります。
実は、性別によってその傾向にも違いが見られます。男性は「できれば自宅で、家族に面倒を見てもらいたい」と考える人が多い一方で、女性は「家族に迷惑をかけたくない」「できるだけ外部サービスを利用したい」と考える傾向があります。
その背景には、女性がこれまで家族の介護を担ってきた経験から、「自分のときはプロにお願いしたい」と感じる気持ちがあるのかもしれません。
特に近年では、女性の間で“老人ホーム志向”が高まっています。プライバシーが守られ、必要なサポートが受けられる環境は、精神的にも経済的にも安心につながるからです。
介護のかたちに正解はありませんが、「自分はどこで、誰に、どのようにケアされたいのか?」を考えると、普通に老後を迎えるよりも多くの金額が必要になる可能性もあることを考えておいた方が良さそうです。
老後も介護も、思った以上にお金がかかるという前提で備える
これまで見てきたように、老後の生活には毎月の生活費だけでなく、医療費や介護費、想定外の出費、インフレといった“見えないコスト”が重なってきます。
そして介護が必要になったときには、施設利用や在宅ケア、家族への配慮など、金銭面だけでなく心の準備も必要になります。
つまり、老後の資金準備は「長生きするためにいくら必要か」ではなく、「何が起こっても安心して生きていける備え」を考える視点が欠かせません。
楽しく安心して人生後半を迎えるためにも、“思った以上にかかる”という前提で資産設計をしておくことが、これからのスタンダードになっていくのではないでしょうか。
本当に自分が安心して老後を迎えるには、一体いくら必要なのか?
子どもに心配をかけず、ゆとりを持って暮らすには、どんな備えが必要なのか?
最近では、物価上昇や介護費用の高騰などにより、以前よりも必要な資金は確実に増えてきています。
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