
老後の備えはした。保険も入っている。でも手元にまとまったお金が残っている——そんな方が増えています。「使う予定はないけど、何となく定期預金に入れたまま」というケースも少なくありません。そのお金、本当にそのままでいいでしょうか。
定期預金の金利は、現在でも年0.1〜0.3%程度。一方、物価の上昇(インフレ)は年2〜3%で進んでいます。つまり、何もしなくても、お金の「実質的な価値」は毎年少しずつ目減りしているのです。
100万円を定期預金に10年預けても、増えるのはわずか数千円。しかし物価が2%ずつ上がれば、10年後に同じ生活をするには約122万円が必要になります。「安全に置いている」つもりが、実は少しずつ損をしているとも言えます。
余裕資金の運用で最初にすべきことは、商品を選ぶことではありません。「そのお金が何のためのお金か」に名前をつけることです。目的が決まれば、おのずと運用方法も変わってきます。
この「色分け」ができると、どのお金をどのくらいのリスクで動かすべきかが自然と決まります。そして、この「目的ごとに資産を管理する考え方」のことをゴールベースアプローチと呼びます。
ゴールが明確になれば、相場が多少上下しても「このお金は10年後に使うものだから焦らなくていい」と判断できます。逆に言えば、ゴールなしで運用を始めると、少し下がっただけで不安になり、最悪のタイミングで売却してしまうことになりかねません。
「わかってはいるけど、実際に暴落したら不安で売ってしまいそう…」そう思う方も多いはずです。しかしデータが示す事実は、ゴールを持っているかどうかで行動が大きく変わることを証明しています。
2008年のリーマンショック——世界中の株価が数ヶ月で半値近くに暴落した未曾有の金融危機です。このとき、ゴールを持って運用していた投資家とそうでない投資家の行動を比較した調査があります。
出典:SEIインベストメンツ「リーマンショック時の投資家行動調査」をもとに作成
ゴールを持っていた投資家の95%は売却せず、うち20%はむしろ追加投資をしています。一方、ゴールのない投資家の80%が一部または全額を売却してしまいました。暴落の底で売ることは、最も大きな損失を確定させる行動です。
余裕資金の運用に「万人共通の正解」はありません。何歳でいくら必要か、どのくらいのリスクなら眠れるか、新NISAをどう活用するか——すべてはゴール次第です。
ご相談では、手元の資金を整理し、生活・将来・娯楽の3つに色分けするところから始めます。目的が決まれば、新NISAや積立の活用方針も自然と決まってきます。金融商品の販売は行いませんので、中立な立場でアドバイスします。
「お金に名前をつける」ところから始めませんか。
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